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2007年8月 1日 (水)

「責任」を歪めた戦後体制

 子育てが辛いから親である事を辞めるとか、人生に挫折したから生きるのを辞めるとか、周りの人とうまくつきあえないから社会との接触を止めるとか、今の日本に蔓延するそういった行動は、安易に逃げる事を容認する風潮が生み出した、社会の歪みではないでしょうか。
 辞める事が責任を取る事だ、とする考え方も、同じように無責任な人間を生み出すだけです。

 こういった風潮も、長い年月をかけて教育現場やマスコミの誘導により作り上げられた、一種の戦後体制、現代の日本人を蝕んでいる悪習の一つであり、克服しなければならない課題であると思います。

 「潔く」という言葉で「辞める事」を美化する人もいるようですが、そういう人たちは沖縄戦における集団自決や戦陣訓の過度な誤用による玉砕についても同じように美化すべきで、それらだけを批判する資格は無いと思います。しかし、実際はダブルスタンダードな論客が多いように見受けられます。

 責任の果たし方は人それぞれかもしれませんが、例えば赤字を出した責任を果たすなら、逃げるのではなく自ら黒字に戻すのが最高の形だと考えます。そのためには当然、それまで以上の頑張りが要求されるわけですから、辞めるよりも続ける方が、本人にとっては厳しい場合が多いはずです。

 ですが、「間違いを起こしたら辞めるのが当たり前」という「世論」を作っておけば、些細な欠点を大げさに宣伝さえすれば、任意の役職を交代させられる世の中ができあがります。つまりマスコミが都合の良いように人事を操れる世界です。今の日本の社会はそんな状況にあると思います。

 総理がいわゆる問題閣僚を辞めさせないのは、身内への甘さの現れではなく、逆の意味で道義的な責任の取らせ方なのでしょう。自称「常識的」な世論の激しい批判にも晒されますから、むしろきつい仕打ちです。また、それはスキャンダルによる閣僚潰しという、第4権力の政治支配に対する挑戦でもあると考えられます。そういう意味で、これも「戦後レジームからの脱却」の一環なのではないでしょうか。(総理の言葉ではなく、私の個人的な解釈ですので、実際のところはわかりませんけど。)

 道義的な部分の他に、実務上の問題もあります。閣僚に求められる最も重要な資質は、専門分野の卓越した行政能力であって、クリーンさや失言の無さなどは二の次です。多少汚い事をやってでも、国益を最大限に掴み取れる人物の方が、本来は望ましいと思います。そして、それが可能な人脈や人格を兼ね備えたトップレベルの人材に、いくらでも代えが利くだけの予備があるとも思えません。
 そもそも国際的な業務を持つ閣僚がコロコロ変わることは、日本の行政だけでなく外交にもマイナスである事は間違いありません。野球のピッチャー交替のノリで軽く考えている人が多いように感じられますが、大臣の交代にしても税金のかかる話です。担当業務に直接関係の無い失点だけで、すぐ更迭を求めたり任命責任を追及したりするのは、国の手足を縛る事になります。日本の政治家が身動きできなくなって一番喜ぶのは、日本の国民ではなく敵性国の関係者でしょう。

 故松岡前農相や赤城農相を登用し、使い続けた安倍政権の姿勢はマスコミだけでなく多くの自民党支持者にも激しく非難されておりますが、私の目には従来型の運用よりも原則に近く、正しいものに映ります。

 マスコミに迎合する事が正しい事だと考えるなら、マスコミによる政治支配からは永久に抜け出す事ができないでしょう。これからも現政権はバッシングに負けずに、マスコミと戦って欲しいと思います。

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 しかし結局、赤城氏は辞任となってしまいましたね。選挙の敗戦責任を負う党員としての立場と、国政を担う閣僚の立場が混同されるのは、納得のいかないものがありますが、これが政党政治の現実でしょうか。せめて内閣改造の時期までは踏み留まって、引継ぎをしっかりやって欲しかったのに、残念です。


参考リンク

【政治】 民主・さくらパパ 「事務所費、領収書出せるわけない…たぶん民主党も」 http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1185849301/

赤城徳彦農相辞任 「与党敗北の一因となったことはまぎれもない事実。大変申し訳なく思っております」
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/owabiplus/1185956582/

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